映画

『手紙』

『手紙』 生野慈朗作品。正直敬遠していた。 観たら、とてもいい作品だった。 手紙を通じて始まり、手紙でつながって、手紙で別れていく。 どの立場の人にも同情できる稀有な物語だ。 原作が素晴らしいのだろう。一つ問題を解決したと思ったら、新たに問題が…

『HANA-BI』

『HANA-BI』北野武作品。初見。 切ない話だ。バイオレンスなシーンも多いのだけど、静かなシーンが多く、ところどころで笑いもあるので、激しい作品には感じられなかった。たけし演じる西は警察にもやくざにも見える。登場したときは正直どちらかわからなか…

『ラストキング・オブ・スコットランド』

『ラストキング・オブ・スコットランド』ハードな映画。ウガンダに実際に存在した独裁政権をスコットランドの青年医師から描く。 アフリカ音楽の陽気さとアニン大統領の冷酷さのギャップが大きく、残虐さが痛い。 苦しさに手に汗握ってしまった。さすがR-15…

『幕末太陽傳』

『幕末太陽傳』川島雄三作品。なんといってもフランキー堺の演技が出色。 イメージしていた佐平次をそのまんま体現していた。 お膳を運ぶ動作なんて見事である。 調子のいいやつだけど、仕事ができて、機転が利き、行動的だ。 体調が悪く、咳き込む姿は観て…

『フルメタル・ジャケット Full Metal Jacket』

『フルメタル・ジャケット Full Metal Jacket』キューブリック作品。海兵隊入隊から、ベトナム戦争に参加するストーリー。 ブラックユーモアがリアルで、ユーモアに思えなかった。海兵隊訓練学校では徹底的に人格を殺戮者に変える「訓練」を受ける。 セリフ…

『ドリームガールズ』

『ドリームガールズ』素晴らしい映画。 ミュージカルを見事に映画化し、その醍醐味を感じた。 はじまりから迫力に圧倒され、音楽に動かされる。 わかりやすいストーリーもよい。 出演者の歌唱力に脱帽。歌上手過ぎ。 前向きなラストが心地良い。

『ディパーテッド THE DEPARTED』

『ディパーテッド THE DEPARTED』マーティン・スコセッシ作品。オモロ。 ディパーテッドとは死者の意。観終わるとその通りだと実感する。 サスペンスとミステリーとアクションを混ぜたよくできたストーリー。 映像と音楽のテンポのよさで2時間30分があっ…

『ALWAYS 三丁目の夕日』

『ALWAYS 三丁目の夕日』山崎貴作品。 思っていたよりも、観られる。 予告編だけでは全然わからなかった人物関係が判明した。 次々と新しいこと、ものが生まれ、それと同時に 次々と失われていくこと、ものが儚い。 泣かせ処がいくつもあり、テレビドラマ的…

『それでもボクはやってない』

『それでもボクはやってない』 周防正行作品。キタ。 今年最高の作品。 心にダイレクトに響く重さを強く感じる。「真実」ではなく「現実」を忠実に描く。 主人公に十分すぎるほど感情移入してしまい、上映後しばらく立ち上がれなかったほど。「男性」として…

『マリー・アントワネット』

『マリー・アントワネット』 ソフィア・コッポラ作品。史実ではなく、ひとりの「女性」としてのマリー・アントワネットを描く。 全篇に渡るのはマリー・アントワネットの切なさ。 華やかでも、楽しくても、優雅でも、喜んでも、切ないのだ。豪華なセット(ヴ…

『ファーゴ』

『ファーゴ』コーエン作品。 偽装誘拐を端に発した無意味な悲劇。とてもやりきれない。 次々と失われていく命とその事件を捜査する妊婦の主人公との命の対比が映える。 殺人は猟奇的で無残で残酷だが、主人公の落ち着きや夫婦の愛が作品を充分に緩和し、後味…

『お熱いのがお好き Some Like It Hot』

『お熱いのがお好き Some Like It Hot』初ビリー・ワイルダー作品。 オモロ、楽しい。 全く飽きさせず、わかりやすく、楽しい場面を立て続けに魅せる技術はさすが。 マリリン・モンローをはじめてしっかり観たが、そのセクシーさは必見。 セックスシンボルは…

『博士の異常な愛情』

『博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか Dr. Strangelove or: How I Learned to Stop Worrying and Love the Bomb』 キューブリック作品。オモロ。飽きさせず、惹きつけられる。 ブラックユーモア盛り沢山。 …

『鉄コン筋クリート』

『鉄コン筋クリート』松本大洋原作の漫画のアニメ映画。アニメだから単純そうに思えたが、実際は理解し難かった。 人間の多面性をそれぞれ一人立ちさせた感あり。 原作を読むべきだったか。 ユニークな世界観を評価すべきなんだけど。声優陣が見事。 特に二…

『シティ・オブ・ゴッド Cidade de Deus 』

『シティ・オブ・ゴッド Cidade de Deus 』ブラジルのリオのスラム「神の街」を舞台とした事実に基づいた作品。 事実と知ってブッ飛ぶ。 エンドロールに映し出だされる写真とインタビューが印象深い。仔細にこだわっていて、誰も「死んで」はいないはずなの…

『ニュー・シネマ・パラダイス Nuovo Cinema Paradiso』

『ニュー・シネマ・パラダイス Nuovo Cinema Paradiso』裏切られた。60年代のイタリアの田舎町で唯一の娯楽である映画を愛する老若男女を楽しく映し出す。ここまでは心が暖まり、やさしく見守っていた。しかし、後半の掘り返された恋愛がウザイ。 初恋の人を…

『プラダを着た悪魔 The DEVIL wears PRADA』

『プラダを着た悪魔 The DEVIL wears PRADA』快作!あるファッション雑誌の編集部の仕事ぶりから、その業界の厳しさ、楽しさ、美しさ、冷たさを知る。 安易に「おしゃれ」に流れないことがストーリーに緊張感を与える。たかがファッションではない。 メリル…

『羅生門』

『羅生門』同じ場面に遭遇した3人(目撃したのは全部で4人)がその場面を話すのだが、どの話も異なり、4者4様の回想がされる。しかも、場面を構成する3人は自分が人を殺したと話す。 そして、自分を良く見せるのではなく、悪く見せるように話すので、そ…

『武士の一分』

『武士の一分』山田洋次的ハッピーエンド・フューチャリング木村拓哉。というような作品。 感情の振幅が小さく、その分作品に重さ、深みが足りなく感じた。木村の演技はとても良く、特に視線の使い方が抜群。 また、剣道経験者だけあって剣術にキレがある。 …

『ヴェニスの商人 The Merchant of Venice』

『ヴェニスの商人 The Merchant of Venice』物語が良く練られているな。 どんでん返しが2点。 有名な1ポンドの肉と指輪。 僭越だけど、さすがシェイクスピア。アル・パチーノことシャイロックに酷く同情。シェイクスピア作品は戯曲であるから、独り言のよ…

『トンマッコルへようこそ』

『トンマッコルへようこそ』タイトルとポスターだけでは内容が全く想像できなかった。実際観てみると、心が休まり、笑えて、朗らかになり、痛みを感じ、悲しく、腹が立つ、など感情が忙しく変わる。 ファンタジーのような生活と現実的な悲惨さを見事にミック…

『椿三十郎』

『椿三十郎』時代劇を利用したスパイ映画。わかりやすい痛快活劇。面白い。 ラストの血が噴き出すシーンはインパクトあるが、この作品は決してそれだけではない。 互いに相手の裏をかいていくのを観るのは楽しい。 助け出された城代家老の家族ののんびりした…

『タクシードライバー Taxi Driver』

『タクシードライバー Taxi Driver』「負け犬」と自覚しながらも、何かを成し遂げたいと思いながらタクシーを運転する日々。カリフォルニアの犯罪温床地区を運転するたびに、この地区の無法さに苛々していた。 しかし、ある日銃を手に入れることにより、生活…

『用心棒』

『用心棒』時代劇なんだけど、話が凝っていて、引き込まれる。無頼の用心棒が丸く収める話なんだけど、善と悪の2元だけで考えるのではなく、どちらでもない第3の方法で収める。土俵の上のどちらかに味方するのではなく、土俵ごとひっくり返してしまった感…

『ハスラー The Hustler』

『ハスラー The Hustler』ハスラーってビリヤードやってる人のことかと思っていたけど、本当の意味は詐欺師ということを知った。才能があるにもかかわらず、自分の力を過信し、危うく金を稼ぐ者の成長の物語。 愛で成長するのだ。モノクロなので時間の経過と…

『父親たちの星条旗 Flags of Our Fathers』

『父親たちの星条旗 Flags of Our Fathers』初イーストウッド作品。物語として面白い。激戦と言われた硫黄島の戦いを起因とする様々な個人の問題を孕んで顕示した作品。 単に戦争の是非を問うだけではなく、生と死、大衆操作、事実と嘘、戦後の生活、仲間と…

『地獄の黙示録 Apocalypse Now 』

『地獄の黙示録 Apocalypse Now 』ワーグナーの曲に乗せての総攻撃は圧巻。圧倒的な迫力の「攻撃」。 前半の「動」に比し、後半は「静」。 まったく異なる作品をつなぎ合わせたかのよう。ベトナム戦争の米軍の実態が生生しい。 プレイガールの慰問、指揮官の…

『赤ひげ』

『赤ひげ』傑作ヒューマンドラマ!!話がかなり練られているのがわかる。医師の現場を通じて、個人の生と死、生き様、人生をを丁寧に描く。三船の素晴しさは文句無し。 加山雄三が演技しているのを初めて見たが、演技度と役柄が見事にマッチしている。 観るべ…

『ショーシャンクの空に The Shawshank Redemption』

『ショーシャンクの空に The Shawshank Redemption』周りの評判が非常にいいので、大いに期待して観た。実際観てみると、それほどとは感じず。暖かいヒューマンドラマを想像していたが、オトコ臭い友情の話で、最後はどんでん返しでハッピーエンド。ラストの…

『二十四の瞳』

『二十四の瞳』 初めての木下恵介作品。名作。泣ける。ホロリとくる。子供たちの表情や仕草、言葉が愛おしい。 子供たちが歩いて先生のお見舞いに行く姿なんか冒険で、心配でならない。 可愛らしいな。原作は読んだことないが、瀬戸内の情景と歌声の効果が絶…